この感想はネタバレを含みますので、まだご覧になられていない方はご注意下さい。
正直なところ、想像がつかなかった。期待半分、不安半分。巨神兵がその感情をすべてを焼き払った後、幕は上がっていく――。
まるで破を思わせる冒頭には不安を覚えたけれど、以降の大胆なストーリー展開が新しいエヴァを予感させてくれた。多くの新キャラに巨大戦艦。見知らぬ何かが次々と登場する。そのせいか序盤は別の作品を見ているような錯覚に陥った。TVで執拗に"これはエヴァである"を連呼していたのは、これを見越したものかもしれない。
14年の月日を経て、ミサト以下旧ネルフ実働メンバーは新組織となり、ネルフは敵になっていた。明らかに年を重ねたメンバーと、見た目が何も変わらないアスカとマリ。戸惑うシンジ。戸惑う自分。レイ登場。カヲル登場。くり返される連弾。勝ち目のない将棋。カヲルの死。そしてインパクトのバーゲンセール。
実のない台詞はエヴァらしさだけど、それだけでは辛すぎる。映画の利点である臨場感も、前回に比べてちまちました印象を受けた。エヴァ同士の戦いでは仕方ないのかもしれない。(同時上映の『巨神兵東京に現る』が、その印象をより強めたのかも)
迷宮の奥深くまで導かれて、ヒントもない状態で中断された気分。観客とシンジの気持ちはユニゾンしていたけれど、観客にだけはもう少しサービスしてくれてもいいのにね。
Qは終章へのプロローグ。その布石が起こした波紋は、歪に広がっていく。
●よかった点
◇マヤがいたことに安堵。順調に大人のハリネズミへと成長しているようでなにより。若い男なんかにたぶらかされるな。
●気になる点。
◇トウジの妹、鈴原サクラが満を持しての登場。シンジに対して唯一温和な態度を示す。その様子を見る限り、トウジはどこかで生きているのだろう。
◇ヴィレのクルー全員が、シンジに対して取った画一的な態度に違和感。初見のメンバーなら畏怖やら違う感情もあるはず。サードインパクトを引き起こした張本人への反応としては少し雑だったかな。
◇アスカの性格がエヴァ時代に戻っている。14年経ったとはいえ、孤独を愛する破の性格改変はどこへ行ったのか。そもそもあの改変に意味があったのか。(破の)レイもいなくなっているし、破の存在意義って何だったんだろう。
◇ピアノと将棋。
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タイトルが"Q"なので、謎だらけで終わることは想定内でした。できれば単なる繋ぎではなく、一作品としての完成度をもっと高めて欲しかった。
レールの上を走っている序、破とは違い、Qは完全オリジナル。道のない荒れた原野にレールを作るのはなかなか苦しいものらしい。
ガイナックスの新作オリジナルアニメとしてみれば気合十分。しかし、エヴァの新作としてみれば何か物足りない。そんな感じ。
最後にこの一言でまとめたいと思います。
まさしくQ展開でした。
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