しばらくはクエスト消化に明け暮れていた。想像以上に苦戦するものが多く、ただ時間だけが浪費していった。そこで気分を変えるために地図へ挑戦することにした。思い起こせばクエストで得た最初の地図に入り、ボスで完膚なきまでに叩きのめされたことは記憶に新しい。今ならきっと労せずに攻略できるはず。そんな軽い気持ちで未だ踏破したことのない『うす暗き獣の地図Lv1』を紐解いた。
さすがにLv1の地図だけあって雑魚に苦戦することはない。あっという間にボスへたどり着くと、およそ半月ぶりのリベンジマッチが幕を開けた。結果は完勝。『みやぶる』と『ぬすむ』も行う余裕すらあった。この勝利によりあらためて地図に挑戦できる権利を得たような、そんな気がした。
その後、新たな地図を入手しては潜るという作業を繰り返した。数十回もすると、地図のレベルがある程度までしか上がらない壁にぶち当たる。まだ見ぬモンスターに出会うためには更なるレベルアップが必要だと考え、ある結論に至る。せっかくだし、魔王の地図に挑んでみよう、と。
魔王の地図はいくつかすれちがいで入手していたので、選択肢はそこそこあった。現時点で所持していたのは『バラモスの地図Lv1』『シドーの地図Lv1』『ダークドレアムの地図Lv99』などなど。そこから選んだのは『シドーの地図Lv2』だった。理由は魔王の中で一番古いボスだったから。
洞窟へ入るといきなりシドーが待ち構えていた。どうやら魔王の地図は潔い構造になっているらしい。装備やアイテムを確認してシドーに話しかける。奇声を上げるシドーの後、戦闘画面に移行。私は息を飲んだ。実は歴代の魔王との戦闘に密かな願いを寄せていた。それはBGMが再現されていてほしいというもの。いくら歴代の魔王が出てきたとしても、BGMが9のボスと同じでは喜びも半減。だからきっとあの名曲の数々を用意してくれているだろうと信じていたのだ。
フラッシュした画面がゆっくりとシドーの姿を映し出す。聴こえてきたのはドラクエ2のものだった。私は嬉しさのあまりしばらくシドーの姿とBGMに酔いしれていた。シドーは魔王の名に相応しい圧倒的な力で襲い掛かってきた。僅か3ターンで力尽きたが、とても清々しい気持ちで満たされていた。当時のBGMに絶望すら覚える強さ。全滅したのに嬉しいと思えたのは、長年ゲームをやり続けてきた中でも初めての出来事だった。(*あとで調べてみると、シドーは隠し魔王だったことが判明。そりゃ強いはずだ。ギャフン!)
先週のすれちがい。1時間強で29人。すこぶる順調である。同じゲームをプレイしている同士がいるというのは素晴らしい。それを実感させてくれるすれちがいって本当にいいものだっ!
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