*本文はネタバレを含んでおります。『リトルバスターズ エクスタシー!』をまだクリアされていない方はご遠慮下さい。
久しぶりのKey作品です。どれくらい久しぶりかと言えば、前作の『CLANNAD』の記憶が曖昧になるぐらい。ただ、エクスタシーからプレイできたので、そういう意味では運が良かったです。
物語は主人公の直枝理樹が学園生活の中で女の子と仲良くなるお話。しかし、これは建前で真の目的は理樹と鈴を強い人間へと成長させるものです。
恭介たちの願いが生み出した世界がリトルバスターズの舞台となります。エクスタシーの追加シナリオにおいては、その世界が密接に関連付けられて内容に深みを持たせています。 今やKeyのアイデンティティともいえる"奇跡"は、今作でも十二分に発揮されていたので安心しました。
リトルバスターズは元々「悪をせいばいする正義の味方」でした。しかし新生リトルバスターズがただの野球チームで終わってしまったのはとても残念です。しかもアクションはノック練習のみで本番は見守るだけというのは腑に落ちませんよ。
キャラクター別シナリオについて下記にまとめました。(一人を除き短めです)
・小鞠
幸福スパイラル理論は分かりやすくて良かったけど、あの独特の話し方は慣れるのに時間がかかりました。亡くなった兄妹というのも定番ですがいいものです。都合の悪いことを無理やり無かった事にする強気な一面は◎。
・クド
普段はほんわかしたキャラなだけにメインルートのシビアな展開はちょっとついていけなかった。説明が多くなりがちで後半は少ししんどい印象を受けました。
・葉留佳
双子の姉妹とお家騒動。クドと同じく、後半は説明が多くてペースが落ちました。長々と他人の家庭事情を見せられるのというのは、感情移入しづらい分疲れますね。
・来ヶ谷
記憶障害により、数日前のことも覚えていられないという少女。終わらない一日を何度も繰り返すが、季節は確実に移り変わっていく。結局何が言いたいのか良く分からない結末だった。名前で呼ばれる事が嫌だった理由も。
・美魚
自らが生み出した分身の美鳥と入れ替わる美魚。ただ、明るく活動的な性格の美鳥には正直何の魅力も感じなかった。美魚が大切にしていた短歌集を存在証明としたのは良かった。
・佳奈多
葉留佳の姉妹なので、葉留佳シナリオを補完する形になっている。佳奈多EDは最後にリトルバスターズが活躍したことが好印象。理想的なEDでした。
・佐々美
サブキャラだった時とメインルートへ入った時のギャップが最も大きいキャラ。唯一、本編より月日が経過した話で、世界の秘密を絡めた展開もおもしろい。猫になってしまうという突飛な設定も個性的で、オチともうまく連動している。期待値が低くなっていたこともあり、良い意味で深い感動を得られました。
・沙耶
リトルバスターズの世界観を総括相応しいシナリオで、沙耶はその恩恵を一番に受けたキャラです。自虐キャラとしての個性も確立しており、ユーザーを飽きさせない華があります。
元は漫画の登場人物に過ぎなかった朱鷺戸沙耶という人形に現実世界で命を落としたあやが入り込んだ存在。時風瞬に最後の願いをスパイとして答える沙耶。しかし、時風瞬は沙耶をタイムマシンで逃亡させることにした。過去の理樹と再び巡り逢ったあやは、現世で果たせなかった青春を新たな世界で謳歌する。
現実と虚構、それに時間までも超越した展開ですが、とてもおもしろかった。演出にも力が入っており、大満足のフィナーレでした。(その後、スクレボEDというのを迎えたのですが、これはEDどうこうというより、その過程が凄かったです)
全キャラの攻略を終えて思ったことは、メインシナリオも通過点の一つにすぎなかったということです。鈴EDは確かにストーリーの核となるもので、リトルバスターズが望んでいた理想です。
ただ、いくら成長を遂げたとはいえ、瀕死の生徒全員を二人で助けるのはちょっと納得がいきません。例えば最終的に恭介を一人犠牲にした方がもう少し納得できたような気がします。そしてエクスタシーのキャラを全部攻略した後に最後のボーナスとして恭介生存ルートを出現させれば更なる感動が得られたかもしれません。
分かったことは、リトルバスターズとはエクスタシーになって初めて完成した作品ということです。日常会話は今までのKey作品で最も良かったかもしれません。真人の筋肉ネタも嫌いじゃなかったぜ。筋肉いぇいいぇーい!! 筋肉いぇいいぇーい!!
*沙耶絵。
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