クインテット3部作における最後のタイトル。前作の「ガイア幻想紀」に比べ、ボリュームと演出が大幅にパワーアップしている。舞台が現実と同じであることも、テーマを語る上で非常に効果的だった。
クインテット作品に共通する善悪や生死に関した疑問を突きつけるイベントの数々は、この「天地創造」で理想に近い形になったのではないか。
アクション部分に関しては、ダッシュ斬りの強さがすべてを物語っている。全体的な難易度は並だが、ボスによってはシビアなところもある。クロスガードで敵の攻撃を弾くのが気持ち良かった。
気になったのはシナリオ。自主的に何かをするのではなく、ただ流れに翻弄され続けるのが少ししんどかった。個々のイベントは秀逸なものも多かったが、全体的にみるとぶつ切りの印象を受ける。ストーリーが壮大すぎた故の弊害かもしれない。
・印象に残ったシーン
インパクトがあったのはブラッディマリー戦前の演出。「かごめかごめ」から「だるまさんがころんだ」の流れは独特の雰囲気があり、記憶に残った人も多いだろう。また、ブラッディマリーが強かったこともその印象の強さを助長している。
最も素晴らしかったのは見せない演出。クリスタルホルムから旅立つ際にエルと交わす扉越しの会話、ライムとボスとの一騎打ちにラストシーン。他にもあったかもしれないが、あえてその場面を見せずに言葉や音楽だけで盛り上げる演出には思わず舌を巻いた。プレイヤーに想像させる演出はゲームという媒体ではとても大切だと再認識させられた。
・あとがき
クインテット作品は様々な価値観を考えさせられるものが多い。作品を創り出す度にクオリティーが向上していくのを感じたし、次の作品もやってみたいと思わせる魅力があった。SFCという媒体も相性が良かったと思う。この手の話は表現までリアルになると、ホラーになる恐れがあり、それだけ強烈な内容であるといえる。
ラストシーンも実にらしくて良かった。やはり締めがしっかりしている作品に駄作はないことを改めて教えられた。
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